新興宗教ハイグレ教 羽野秋穂編

 娘とふたり、ペアルックを着て手をつないで並んで歩く。もちろん全くおんなじ格好というわけではなく、おそろいで着用しているのはピンク色に妖しく輝く「聖なる衣」とセットになっている同色のハイヒールだけで、小冬は登校用に赤色のランドセルを背負ってるし、私は私で小冬との格差を示すピンク色の長手袋を左手に、同色のニーハイソックスを右脚に着用してはいるものの、同じ「ハイグレ人間見習い」である以上そんな違いなど瑣末なものに過ぎない。親娘揃って一緒に「学校」へ行く私たちの姿は、傍目から見ればきっと微笑ましい光景として映えるに違いない。照明がまばらなせいでいまひとつ薄暗いこの廊下の雰囲気もまるで気にならないのは、ふだんとは違った非日常が演出してくれる高揚感に、思い出がつられて私の胸中に呼び起こされるからだろう。五年前の小学校の入学式、今と同じように小冬と手をつないで並んで歩いた時は、今よりもちっちゃな小冬の歩幅に合わせて歩いた通学路はとっても長く遠く感じたっけ。
「うふふっ」
「どうしたの、お母さん?」
思わず笑みをこぼした私を見て、小冬が歩みを止めて訊いてくる。上目遣いにこちらを覗き込んでくるその瞳に、愛おしさ余って娘の髪に指で触れ、手の甲でその頬を撫でてみる。最近になって肩越しまで伸ばし始めた細い黒髪の束を手で梳いてあげると、小冬はとても気持ち良さそうに目を細めた。
「ううん、なんでもないの、小冬の入学式の時のことを思い出しただけ。あの時も、こうやって一緒に並んで歩いたわよね? のんびりしすぎて遅刻しかけちゃったっけ」
「……違うよ。それ、お姉ちゃんの入学式の時の話だよ」
「ええ、そうね。小冬ったら学校が見えてくるなり急に恥ずかしがっちゃって、私の手を離しちゃうんだもの。お母さん、ちょっぴり悲しくなっちゃったのよ? ああ、小冬ももうじきべったり甘えてこなくなって、どんどんお姉ちゃんになっていっちゃうんだなぁ、って」
「だから違うの! それ、小冬じゃない! お母さんと手をつないでたのはお姉ちゃんだよ! 小冬と一緒にいたのはお父さんだってば!」
「そうねぇ、たしかに違うわね。だって、あの時の小冬よりも、今の小冬の方がもっと、もーっと素敵なんだもの! うふふ、ねえ、小冬。ちょっとそこでクルッと回ってみて、お母さんに小冬のランドセル姿、もっと見せてみて?」
「お母さん! 小冬の話、ちゃんと聞いてよ! ねえ、お母さんったら!」
小冬が私のお願いを聞き入れて、恥ずかしそうにはにかみながらクルッと一回転して、その可愛らしい姿の三六〇℃を今一度披露してくれる。ぷにっとしたお腹、ほっそりとした腰や脚、ぷっくりとしたお尻にしばし見惚れる私。ああん、もう、このままずっと眺めていたい……。
「お母さん!」
「……あらやだ! やぁねぇ、お母さんたらちょっとボーッとしちゃってたわぁ。急がないと遅刻しちゃうわね……小冬! 早く行きましょ!」
「……お母さん……」

 私と小冬が俗世を捨て、立派な「ハイグレ人間」になるべくこの「教団本部」で厳しい「修行」を受け始めてはや三ヶ月。まだまだ新参者なので、「授業参観」はもちろん小冬の通っている学校を訪れるのも今回が初めて……少しドキドキする。事前に聞いていた通り、学校と呼ばれてはいるものの、大きな校舎があって児童が何百人も通学している、というわけではないようだ。しかしそれもむべなるかな、私たち「ハイグレ人間見習い」は、巷をうろつく生きている価値もないただの人間とは違う、聖なる衣を身に纏うことを許された、選ばれた存在なのだ。そんなただでさえ選び抜かれた一握りの女性たちの中、小冬と同じ年頃の女の子となると更に少人数になるため、教団本部の内部に確保される授業スペースは自然、こぢんまりとした教室がいくつかあるのみとなっている。小冬と一緒にその扉を開けて中に入ると、そこには黒板と簡素な勉強机が十数組あるだけで、学校というよりは学習塾の一室のような印象を受ける。すでに私たち以外の全員が到着しているようで、父兄のハイグレ人間見習いたちは教室の最後列に並んでいたが、私たちの姿を認めると、皆一様ににっこり笑ってこちらに向かって優雅に華麗に、まるで分度器で計ったかのように正確に膝を直角に曲げて腰を落とした。
「「「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!!」」」
一児の母、二児の母、三児の母であるにも関わらず美しさの衰えを見せることのない妙齢の父兄たちが私と小冬に向かって挨拶の「ハイグレ」を取ってみせる。日課である「ハイグ礼拝」によって厳しく鍛え上げられた淀みのないその動作は、掛け声に合わせて聖なる衣の美しいラインに沿いながら引き上げられる指先や、それに伴って張り詰める肩先や肘先に至るまでピンと込められた確かな力強さが湛えられていて、思わず挨拶を返す余裕をなくしてしまうほどに見惚れてしまう……私もいつかはあんな風に立派なハイグレができるようになりたい……あらやだいけない、私ったらまたぼーっとしちゃって……慌てて挨拶を返そうと両脚を広げると、となりの小冬も私の動きに追従した。
「ハイグレッ!! ハイグレッ!! ハイグレッ!!!」
「はいぐれ……はいぐれ……はいぐれ……」
私たちの挨拶が済むと、今度はひとつの勉強机の周りにたむろしていた少女たちが小冬に向かって両脚を広げた。
「「「はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!!!」」」
「は、はいぐれっ……はいぐれっ……はいぐれっ……」
小冬や私が着用しているピンクとはまた違った、色とりどりの聖なる衣を身に纏った可憐な少女たちの、父兄たちと比べるとまだまだたどたどしいハイグレも、あどけなさが感じられてとっても可愛らしい。挨拶が終わると、一人の少女がこちらに向かって手招きしてくる。
「小冬ちゃん! こっちおいでよ! 委員長ったらすごいのよ!」
「う、うん……」
小冬は返事をすると、私の方をちらりと見やって、気恥ずかしげに私から離れて少女たちの方へ歩み寄っていく。なんとなく、母と娘という間柄が、一時的にせよなおざりにされてしまったような気がしてちょっと寂しい……。とはいえ、今はそんな感傷に浸っている場合じゃない。私も教室の最後列の方へ歩み寄り、聖なる衣姿の父兄の一員としてその最後尾に加わる。見知った顔が何人かいたものの、談笑に興じる様子は無く伏し目がちに授業の開始を待っているので私も右に倣えでお行儀よくしていることにする。
 小冬の様子を見ようと前方へ視線を移す。わいわいとひとつの席を取り巻いて賑わう少女たちの中に紛れ込んでいる我が子の視線の先には、同級生全員の注目を浴びながらも、余裕をもってツンと澄まして着席している女の子がひとり。先刻の小冬を呼んだ女の子の言葉から察するに、彼女が「委員長」ちゃんなのだろうか? なるほど三つ編みに縁のないメガネをかけた理知的な顔立ちはいかにも委員長然としているが、特筆すべきは彼女の右腕を覆う緑色の長手袋。
「すごいねぇ、委員長! もう『シングル』だなんてソンケーしちゃうなぁ!」
「ねぇねぇ、どうやって試験に合格したの? コツ教えてよ、コツ!」
「はぁ、それ付けたらとっても気持ち良さそう……ちょっと触ってみてもいい……?」
「うん、いいよ」
勝ち誇ったような笑顔とともに、慇懃な動作で長手袋に収まった自分の右腕を差し出す委員長ちゃん。大人しそうな風貌に反して小生意気な印象を受けたものの、たしかにその歳でシングルの試験に通るなんてすごい。その証拠に教室中の女の子は小冬を含めてまだ「無印」。父兄の方たちの中にもまだシングルのまま昇格できていないハイグレ人間見習いが何人かいることからも、彼女のハイグレ人間見習いとしての実力の高さを窺い知ることができる。小冬も頑張って追いつかなきゃね。ファイトよ、小冬!

 始業のチャイムが鳴り終えると同時に扉がガラリと開かれる。先刻までわいわいと騒いでいた少女たちが弾かれたようにおのおのの机へと戻って着席する。教室へ入って来たのは、真紅の聖なる衣と同じ色の長手袋とニーハイソックスが両腕両脚、全ての箇所に……まあ! 「ハイグレ人間様」! ハイグレ人間様だわ! あっ、いま目が合ったかも……♥ 素敵……♥ 
 ……突然のハイグレ人間様の登場にドギマギした私の膝に勢いよく何かがぶつかってきた。隣を見ると、私以外の父兄のハイグレ人間見習いたちがすでに挨拶の体勢に入っている。ああ! 私ったらなんてはしたない……慌ててガバッとガニ股になる。
「「「ハイグレッ!!! ハイグレッ!!! ハイグレッ!!!!」」」
私と小冬に向けてなされた挨拶よりも一層声を張り上げて行われるハイグレ。その挨拶に対して、ハイグレ人間様はにっこりと微笑みかけてくださり、しかし私たちに挨拶は返されずにゆっくりと口を開かれた。
「父兄の皆様、どうか緊張なさらずに……さ、それでは授業を始めましょうか。榎本さん?」
「ひゃ、ひゃい!」
ハイグレ人間様の呼びかけに対し、私の隣の、緑色の聖なる衣姿のシングルのハイグレ人間見習いが、声を裏返しながら返事をした。意図しない方向から返事が返ってきたからか、目を丸くしたハイグレ人間様が、口元のほくろを隠すような仕草で手の甲を当てて困ったように眉根をひそめた。
「うふふ……ですから、そう緊張なさらずに。それに、私が呼んだのは教え子の榎本さんであって、お母さんではありませんよ?」
余裕たっぷりにハイグレ人間様が仰ると、席についた少女たちがアハハと陽気な笑い声をあげた。ただひとり、顔を真っ赤にして勘違いを恥じ入っている榎本さんのお母さんに向かって憎々しげに視線を送っている委員長ちゃんが、こほんと咳払いをして苛立たしげに立ち上がった。
「起立!」
榎本委員長ちゃんの号令に、他の少女たちも後に続いて立ち上がった。そして全員が慣れた動作で椅子を机に押し込んでスペースを作り、脚を大きく開いた。
「礼!」
「「「はいぐれっ!!! はいぐれっ!!! はいぐれっ!!!!」」」
先刻の小冬に向けた和やかなハイグレとは打って変わって、真剣な表情で挨拶が行われる。やはりたどたどしさは拭えないものの、彼女たちのキリッとしたハイグレもとっても可愛らしい。ハイグレ人間様も満足されたのか、にっこりと頷く。
「着席!」
再度、委員長ちゃんが号令をかけて全員が席につく。彼女たちがガラガラと椅子を引いて着席している間、横を向いてみると、委員長ちゃんのお母さんはまだ下を向いて赤面していた。なんとなくこの親娘の関係性が垣間見えたような気がして少し気の毒になる。哀れな委員長ちゃんのお母さん……。
 そんなことよりも! と私は教室の最前列に向き直る。ハイグレ人間様から直々に授業を受けることが出来るだなんて、小冬はなんて恵まれているのかしら! アップに纏め上げられた、まるで一流パティシエが丹精込めて作り上げた飴細工のような美しい髪から発せられるかぐわしい芳香が教室の最後尾にまで届いて来そうな妖艶なハイグレ人間様のお姿に、同性にも関わらず私はドキドキと胸を高鳴らせながら、この御方に毎日教えを乞うことの出来る小冬を羨ましく思った。
「まずは授業に入る前に……みなさんもご存知の通り、榎本さんは昨日、シングルの昇格試験に見事合格されました。おめでとうございます。榎本さん、よく頑張りましたね」
ハイグレ人間様からのお褒めの言葉に、先刻まで自分の母親の失態に不機嫌だった委員長ちゃんが嬉しそうに立ち上がってガニ股になった。
「はいぐれっ! はいぐれっ! はいぐれっ!! ありがとうございます、先生!」
その嬉しそうなハイグレに、緊張していた父兄陣も含め教室中のハイグレ人間見習いがパチパチと拍手で祝福する。やがて拍手が鳴り止むと、委員長ちゃんは少し気恥ずかしそうに着席した。
「さて……本来ならば教本の続き八六ページから、としたいところですが、本日はせっかくの授業参観日ですし、かねてよりみなさんからの要望も強い『実践学』の続きを行うことにしましょう。みなさん、教科書をすべて机にしまって下さい」
「ホントに!? やったぁ! せんせー大好き!!」
「わぁ、実践学久しぶりだなぁ……えへへ、頑張っちゃお……♥」
「実践学だって! 小冬ちゃん、一緒に頑張ろうね!」
「う、うん……」
「ちょっとみんな! 授業中なんだから、静かにしなきゃダメよ!」
 実践学……? 聞きなれない言葉に首をかしげるが、勝手知ったる少女たちからはワッと黄色い歓声があがり、同時に委員長ちゃんが周囲をたしなめている。いったい何が始まるのだろう? 隣の委員長ちゃんのお母さんに訊ねてみたいが、目上のハイグレ人間様がいらっしゃるこの場では無言を保った方が穏当だろうと思い直して黙って眺める。すると少女たちは立ち上がり、慣れた手つきで机を椅子の上に載せて持ち上げ、教室の両隅に運び始めた。まるで今から掃除でもするのだろうかとばかりに教室の真ん中に大きなスペースを作り上げると、作業を終えた少女たちが間隔を取って整列する。委員長ちゃんがその先頭を陣取り、小冬は斜め後ろの辺りに並んでいる。なにやら冷遇されていそうな位置関係に少しハラハラするものの、こちらからはむしろよく見えるので見守り甲斐を感じる。なにが始まるのかよくわかんないけどファイトよ、小冬! と声に出さずにぎゅっと拳を握って心の中で応援する。
「みなさん、準備はできましたね? では、今回は前回の倍の三〇分間で行きましょう。さん、はい」
いつの間に用意されたのか、ストップウォッチ片手に発せられるハイグレ人間様の「さん」の掛け声で少女たちが大きく脚を開いて直角に折り曲げ、「はい」の掛け声で両手を手刀に構えて股間の前へ、次いで教室内に「すぅ……」と大きく息を吸い込む音がこだまする。
「「「はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!!」」」
少女たち全員が一糸乱れぬ完璧なタイミングで同時にハイグレを行なっていく。その目線は誰一人逸らすことなくハイグレ人間様の瞳に集中している。ハイグレ人間様は真剣な面持ちでその様子を女神のように見守っていらっしゃる。これが実践学……? たしかに私たちハイグレ人間見習いにとってハイグレはなくてはならない最も重要なものであり、美しくハイグレを行うことは私たちの至上命題である。それに、いま彼女たちが行なっている二秒につき一回のペースを崩さずに行われるハイグレは、シングルの昇格試験に用いられている方式でもある。つまりは試験の直接的な勉強にもなってまさに一石二鳥。さすがはハイグレ人間様、素晴らしい授業だわ……♥
「「「はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!!」」」

 壁掛け時計に目をやると、開始からそろそろ三〇分が経過する。一分でぴったり三〇回ハイグレが行われる計算なので、合計で九〇〇回。シングル昇格のためにはこのおよそ九倍の数のハイグレをこなす必要があるので、一里塚も通過していない、まだまだこれからといったところだ。
「はい、それまで」
ハイグレ人間様が号令を発せられると、少女たちがハイグレをピタリと止める。教室中にハァハァと吐息があがり、彼女たちがこの程度で疲労感を露わにするような、まだまだ未熟な可愛らしいハイグレ人間見習いであることが分かる。しかしどの子も軽く汗をかいているだけで、委員長ちゃんに至っては汗ひとつかいていない。さすが未来のハイグレ人間候補生、といった精悍な面持ちにほっこりしてしまう。そんな中、青息吐息、肩で息をしている汗だくのハイグレ人間見習いがひとり、しゃがみこんで両手で床に手をついてしまった。
「だらしないですよ、羽野さん。たった一〇〇〇回にも満たないハイグレで根を上げてしまうなんて。榎本さんをもっと見習いましょう」
「ハァハァ……ッ……す、ハァハァ……すい、ませ……ハァハァ…………」
委員長ちゃんのお母さんと違って、私はハイグレ人間様に呼びかけられたと勘違いしたりなんかはしない。というよりも、しゃがみこんで疲労困憊の小冬に目が釘付けになっているのでそれどころではない。
「小冬…………?」
いったいどうしたのかしら……? 登校時は元気にしていたのに……今すぐ駆け寄って助け起こしてあげたい気持ちでいっぱいになるが、ハイグレ人間様の、明らかに気分を害していらっしゃる声色に怖くて足が動かない……。
「まあいいでしょう、羽野さんは宿題のハイグレを怠らないように。それでは準備運動はこれくらいにして、実践学の用意を始めましょう。榎本さん?」
ハイグレ人間様の呼びかけに、委員長ちゃんがこっくり頷く。今のが実践学じゃなかったの……? 気が動転して理解が追いつかない、そんな私を尻目に、委員長ちゃんはくるりと後ろを振り返って、長手袋をはめた右手を自慢げに振り上げる。
「一班は一号機を、二班は二号機を出して! ……羽野さんはちょっとたるんでるみたいだから、私と一緒に三号機ね」
「う、うん……」
委員長ちゃんにギロリと睨まれて、息を整え終えた小冬が元気なく頷いた。すると、少女たちは三方に別れて動き出し、教室の手前と奥にいくつも並んでいるロッカーの扉を開けて、赤色と肌色で彩られた、何やら大きな長方形の物体を持ち上げて運び始めた。重そうに運んでいる小冬を見守っていると、やがてハイグレ人間様の目の前に並べ終えられたそれら三つの物体の正体が明らかになった。
「あぁ……♥」
同時に、父兄陣から湿っぽいため息が漏れる。もちろん私もドキドキする……その角ばった「パンスト兵様」を模した大きな人形の中央やや下方部には、とっても逞しく立ち上がったおっきくて太い……♥
「先生! 準備完了です!」
委員長ちゃんが元気良く言うと、ハイグレ人間様が頷く。
「すでに実務に励んでらっしゃる父兄の皆様には今更説明するまでもありませんが、私たちハイグレ人間、及びハイグレ人間見習いは日課のハイグ礼拝の他に、とても重要な使命を帯びています。榎本さん、それは何ですか?」
「はい! 次元を超えて私たちのいる世界へいらっしゃったパンスト兵様に、『ごほーし』することです!」
名指しされた委員長ちゃんが長手袋を誇示するように右手を挙げてハイグレ人間様の質問に答える。
「はい、正解です。パンスト兵様は、あらゆる次元を超えて偉大なる『ハイグレ魔王様』の御意志を伝える激務に日々励んでおられます。そんなパンスト兵様がこちらへお見えになられた際に、誠心誠意尽くして日頃の疲れを癒して差し上げるのが私たちの務め……。とはいえ、パンスト兵様がいつこちらの世界へと顕現なされるか、具体的にはわかりません。そのため、いつでもパンスト兵様のお求めに応じられるよう、どこでもパンスト兵様に悦んでいただけるようご奉仕の作法を学び、いずれ我々を侵略してくださるパンスト兵様に対し失礼の無きよう研鑽に励む義務を我々は負っているのです。それはあなたたち幼いハイグレ人間見習いも例外ではありません」
「「「はいぐれっ!! はいぐれっ!! はいぐれっ!!!」」」
少女たちが嬉しそうにハイグレで答える。これが実践学……なんて! なんて!! なんて素晴らしいの!? まさか小冬たちがもうすでにご奉仕のための本格的な作法を勉強しているだなんて! んもう、小冬ったら、そういうこと全然教えてくれないんだから……。ご奉仕と聞いても物怖じしない少女たちの毅然とした了承のハイグレを見終えたハイグレ人間様は満足そうに微笑んだ。
「うふふ、みなさん大変良い返事ですね。そんなみなさんのために、本日は特別ゲストがいらっしゃっています。どうぞ、お入り下さい」
ハイグレ人間様の呼びかけに最前の扉が勢いよく開かれる。ドスドスとブーツの足音を雄々しく鳴らして入って来られたのは赤色と肌色のコントラクションが輝くような美しさを放つ……
「きゃああああああ!! パンスト兵様あああああああああ!!!」
「パンスト兵様ああああああ!! こちらをお向きになってええええええええええ!!!」
「ああっ……♥ パンスト兵様……素敵……♥」
「ハイグレッ! ハイグレッ!! ハイグレッ!!!」
 ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥
「あらあら……父兄の皆様、パンスト兵様は今日、皆様のお子さんのためにいらっしゃってくださったのですから、どうかお静かに」
ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ……はっ! いけないわ、私ったらつい夢中になってハイグレを……ハイグレ人間様が何か仰ったご様子だけど聞き取れなかった……とりあえず静かにしておこう……。
「えー、こほん。それでは改めまして、本日は特別に、パンスト兵様がみなさんの実践学の見学をしてくださります。みなさん、元気な声でご挨拶しましょう。せーの! ハイグレッ!!! ハイグレッ!!! ハイグレッ!!!!」
「「「はいぐれっ!!! はいぐれっ!!! はいぐれっ!!!!」」」
「「「ハイグレッ!!! ハイグレッ!!! ハイグレッ!!!!」」」
教室中のオンナが一丸となってパンスト兵様へご挨拶を行う。ハイグレ人間様のハイグレを初めて見るチャンスだったが、意識がパンスト兵様へ集中していたためちゃんと見ることは出来なかった。残念……。当のパンスト兵様はハイグレ人間様の隣に仁王立ちになられたまま、威風堂々と腕組みされている……なんて凛々しいお姿……♥
「わあ、本物のパンスト兵さま……かっこいー……!」
「パンスト兵さまが見てくれるなんてうれしい……ごほーしの練習、がんばっちゃお!」
「練習用の人形なんかと比べモノになんないね! ね、小冬ちゃん!」
「う、うん……」
少女たちがパンスト兵様を見ながら口々に興奮気味にひそひそと囁き合う。
「みなさん、今日はパンスト兵様の御前ですので、ハイグレ人間見習いとして恥ずかしくないよう日頃の成果を存分に……パンスト兵様? ええ……はい……なるほど……まあ! それは素晴らしいわ!」
ハイグレ人間様の肩をちょいちょいと叩いて耳打ちされるパンスト兵様と、ふんふんと頷きながらそれを拝聴されるハイグレ人間様。やがてぱあっと表情明るく掌を合わせて頬に当てて口を開いた。
「たった今、パンスト兵様からとても素晴らしいご命令を承りました! その前に、パンスト兵様がご命令を先生にだけ聞こえるよう耳打ちされたのは何故だかわかりますか?」
ハイグレ人間様が少女たちに質問を投げかけられると、すかさず委員長ちゃんが右手を挙げる。
「はい、榎本さん」
「私たちハイグレ人間見習いはまだまだ未熟者なので、偉大なるパンスト兵様のお声を聞くことができないからです!」
「はい、正解です。全てのパンスト兵様は我々とは比べものにならない膨大なハイグレエネルギーをお持ちになられている存在……そんな高次元に座すパンスト兵様のお声を無理に聴こうと耳を傾けると鼓膜が破裂してしまうので、みなさん十分に注意してください。私のように聴き手になれるハイグレ人間がその場にいない時は、パンスト兵様が何をお求めになられているか的確に察する力が問われます。そこで! なんと本日は、パンスト兵様が直々に授業のお手伝いをしてくださるそうです!」
ハイグレ人間様が嬉しそうに仰ると、隣のパンスト兵様が腕組みを解いてその御手をゆっくりと下へ……やおらジッパーの下りる音がしたかと思うと……
「きゃあああああああああああああ素敵ですうううううううううパンスト兵様ああああああああああああああ!!!」
「はぁん♥ パンスト兵様のおちんちん、すごい……♥」
「じゅる……ああ、ご奉仕したいご奉仕したいご奉仕したいご奉仕したい……!」
「ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥」
「……繰り返しますが、父兄の皆様はどうかお静かに。そろそろ怒りますよ? それはともかく、最初にご奉仕の練習をしてもらうのは……パンスト兵様? ええ……そちらの……から……番目の……まあ! さすがですわ、パンスト兵様!」
パンッ、と両手を打ち合わせてパアっと表情を明るく輝かせるハイグレ人間様。パンスト兵様を前にして覗かせる無邪気な少女のようなその仕草に同性ながら胸がキュンとなる。
「では、羽野さん。前に出て下さい」
「…………え?」
「わあ! すごいすごい! 小冬ちゃんが選ばれた!」
「えーいいなぁー小冬ー! うーらーやーまーしー!!」
「せ、先生! 私たちはまだまだ半人前なので羽野さんだけじゃ不十分だと思います! もうひとり選んでいただくべきです!」
「うふふ、そうですね、榎本さんの言う通りかもしれません。では、榎本さんも前へ」
「は、ハイグレッ! ハイグレッ!! ハイグレッ!!!」
「ほら、小冬ちゃんもちゃんとお返事しなきゃ!」
「…………はいぐれ……はいぐれ……はいぐれ……」

 小冬を選んでいただけた衝撃で頭が真っ白になっている間に、どうやら事態はかなり進行していたようだ。パンスト兵様は勉強机からひとつ取ってきた椅子にどっかりと腰を下ろし、その真後ろにはハイグレ人間様。目の前には片膝を突いて跪いている委員長ちゃんと小冬。その両サイドには興味津々といった面持ちの同級生たちが前のめりになって仔細を窺っている。父兄陣も同様だ。
「では、羽野さん、榎本さん。始めて下さい。私から助言は一切しません。頑張って下さいね」
「はい、先生!」
「…………」
小冬と委員長ちゃんが立ち上がり、座ってらっしゃるパンスト兵様のすぐそばまで歩み寄る。そのまま委員長ちゃんがぺとりとパンスト兵様のお身体に指を這わせ、するりとしゃがみ込む。小冬もそれに追従して委員長ちゃんと向かいの側に正座する。こちらから見ると、パンスト兵様が小冬と委員長ちゃん、ふたりの幼いハイグレ人間見習いを両側に侍らせておられるように見えてとても雄々しい……♥
「失礼します、パンスト兵様♥」
「し……しつれい……します……」
「ちょっと、羽野さん! 劣等生のあなたにパンスト兵様のごほーしなんて十年早いんだから、おとなしく私のサポートしなさいよね!」
「う、うん」
委員長ちゃんが凄んで、小冬がたじろぐ。ああ、小冬……大丈夫かしら……心配だわ……。そうこうしているうちに、委員長ちゃんの小さな両手がパンスト兵様のいきり立つおちんぽ様を包み込み、ふにふにと亀頭や竿を撫で始める。
「こ、これがパンスト兵様のお、おちんちん……♥」
ハッハッと雌犬のように息をどんどん荒くさせながら、ほおを赤らめた委員長ちゃんがすりすりとパンスト兵様のおちんぽ様を愛撫する。サポートに徹するつもりの小冬はタマタマの裏を恐る恐る触ったり手を引っ込めたり、ごくりと唾を飲み込んではおっかなびっくりもう一度触れようと手を伸ばしている。初めてとはいえ、いくらなんでも遠慮し過ぎじゃないかしら……あれじゃあ奥ゆかしさ余ってかえって失礼に当たってしまうわ……。
 私の心配が的中してしまったようで、ハイグレ人間様が周囲に聞こえるように大きくため息をついた。
「……羽野さん。いったい何ですか、それは? 前回の実践学で一通りの技術は教わった筈です。もっと誠意を込めて、パンスト兵様にご奉仕しましょう」
「ご……ごめんなさい、先生……」
「もう! ホントにだらしないわね、羽野さんったら。ま、その分私が頑張らなきゃね。ん……んああっ♥」
委員長ちゃんが可愛らしい口を大きく開けると、真っ赤な舌をだらんと伸ばしてパンスト兵様のおちんぽ様へとそろそろ近付けて行く。
「へぁろん……あはっ♥ パンスト兵様のおちんちんおいしい……あっ、今! ぴくんって♥ 喜んでくれたのかな? うれしい~♥」
キャンディを舐めるようにべろんと舌を這わせて無邪気に喜ぶ委員長ちゃん。その姿はややあざとさが感じられるもののとても可愛らしい。のだけれど、反面、小冬の愛撫する手つきは怯えが抜けきっていないようでもどかしい。そこはもっとアグレッシブに揉みしだくくらいで丁度良いのよ! と喉から出かけた助言を飲み込む。そうこうしているうちに、いよいよ本領発揮と言わんばかりに身を乗り出した委員長ちゃんが舌舐めずりをして亀頭に狙いを定めて唾液を垂らしてまぶし始めた。
「んふふ~♥ いっただっきま~す♥ あぁむ……♥」
上目遣いの視線でちらりとパンスト兵様に意味深な視線を送った後、媚びた声色と共に委員長ちゃんのお口がパンスト兵様のおちんぽ様を迎え入れた。ぢゅぢゅぢゅ、と大きな音を立てながらフェラチオが始まると、周囲の女の子たちから小さく息を飲む声が聞こえた。
「ふわぁ、すごい、委員長! ホントにおちんちん食べちゃったぁ♥」
「練習でするのとぜんぜんちがう……見てるだけでドキドキしちゃうよぉ……♥」
「ちょっとぉ、小冬ちゃんやる気ないんじゃない? そんなんだったら私たちと交代してよ!」
「そーだそーだ! アタシの方が上手に出来るもん!」
委員長ちゃんへの賛辞と小冬への不満が口々に発せられる中、委員長ちゃんは何処吹く風でぢゅぼぢゅぼと大きく音を立てながら、やがてぎゅっと目を瞑り、頭をリズミカルに上下に振り始めた。そしてそのままの姿勢を維持しつつ、両手をパンスト兵様のお身体から離して自分の股間へ……。
「ふぁいふえ……♥ ふぁいふえ……♥ ふぁいふえ……♥」
蹲踞の姿勢からハイグレをしながらのフェラチオ……パンスト兵様へご奉仕しつつ、同時に偉大なるハイグレ魔王様への祈りも捧げるという上級者向けのご奉仕テクニックをその歳で習得しているなんて、委員長ちゃん、恐ろしい子……!

 と、思いきや、全力のハイグレフェラチオを繰り出す委員長ちゃんの熱烈ご奉仕は十分以上にわたって続けられたものの、パンスト兵様が高まるご様子が一向に見られない。見た目が派手な委員長ちゃんのご奉仕だが、どうやらパンスト兵様のおちんぽ様にきちんと適切な刺激を与えられてはいないようだ。はじめはわあわあと盛り上がっていた取り巻きの少女たちも、腕組みしたまま身じろぎひとつ取らないパンスト兵様の、覆面越しからでも感じることの出来る退屈なご様子に少しずつ熱気を奪われ、今ではハラハラしながら見守っている。
「パンスト兵様、どっぴゅんしないね……」
「なんでだろー? 委員長ちゃんあんなに頑張ってるのに……」
「練習用パンスト兵様じゃとっくにどっぴゅんしてる頃なのにねー……」
「小冬ちゃんが真面目にやらないからパンスト兵様怒ってるんじゃない……?」
「んんふう……んん……ぷはっ!」
降参と言わんばかりの当惑にまみれた表情を見せた委員長ちゃんが、眉根に深く皺を寄せてパンスト兵様のおちんぽ様から口を放した。射精された形跡はもちろん無く、委員長ちゃんの唾液に塗れたそれは依然猛々しく天を向いてらっしゃる。
「ハァ……ハァ……ど、どうして……練習じゃ、ハァハァ……上手にできたのに……!」
ずり落ちかけたメガネを直しながら、委員長ちゃんが悔しそうに呟くが、パンスト兵様はそんな彼女を歯牙にもかけないご様子で、クイっと首を振って背後のハイグレ人間様に合図を出す。それを受けてハイグレ人間様がパンスト兵様のお声を聞こうと身を乗り出す。
「はい……ふんふん……そうですね……はい……ええっ!? か、かしこまりました……。羽野さん、榎本さん、もう結構です。下がってください」
「ええっ!? そんな……先生! わ、わたしまだやれます!」
「…………」
納得できない様子のふたりに対して、ハイグレ人間様がキッと睨みを利かせて口を開く。
「どうやら、今のあなた達では力不足のようです。パンスト兵様も、もう良いと仰っています。もう一度言います。ふたりとも、下がってください」
「…………ハイグレッ、ハイグレッ、ハイグレッ」
「はいぐれ、はいぐれ、はいぐれ」
力無くハイグレをすると、委員長ちゃんと小冬はぺこりと頭を下げてパンスト兵様のもとを離れて取り巻きの中へと戻っていく。その後、ハイグレ人間様が再度、大きくため息をついた。
「パンスト兵様は榎本さんと羽野さんの拙いご奉仕に大変お怒りになられておいでです。このままでは実践学の授業が立ち行かないばかりでなく、パンスト兵様をご奉仕する使命を帯びた我々ハイグレ人間並びにハイグレ人間見習いの名折れ……本来ならば先生がお手本を示すべき所ですが、本日は丁度参観へ来られている父兄の方々もいらっしゃってることですし……」
視線を教室の最後尾へ移すハイグレ人間様。私たち、一列に並んでいる父兄陣の一人ひとりに目配せして行き、やがて私と視線がかち合った。
「羽野さん」
…………へ?
「羽野秋穂さん」
…………え?
「……何回言わせるんです? 羽野小冬さんのお母さん、羽野秋穂さん。パンスト兵様の御前へどうぞ」
…………ええ!? あ、
「ハイグレッ!! ハイグレッ!!! ハイグレッ!!!!」

 危うく委員長ちゃんのお母さんの二の舞になってしまうところだった……。と、ほっと胸を撫で下ろすわけにもいかず、目の前には椅子に腰を下ろして腕組みされたままのパンスト兵様……。うう、緊張してドキドキしちゃう……。
「パンスト兵様直々のご指名ですよ、良かったですね、お母さん。ぜひお子さんたちにハイグレ人間見習いの使命とは何たるか、そのお手本を示してください」
そう言って、ハイグレ人間様がにっこりと微笑みかけてくださる。本当はとても喜ばしいはずなのだけれど、ドクドクと心臓の音がうるさくてそれどころじゃない。
「小冬ちゃんのお母さん、すごいねぇ、パンスト兵様のご指名だって!」
「おっぱいおっきー……あれでごほーししちゃったりするのかな……?」
「ふん……どうせ大したことないわよ……」
「……お母さん……」
ざわざわと再び興奮し始める周囲の少女たちに混じってこちらを憎々しげに見つめる委員長ちゃんと、心配そうな小冬の視線……うう、緊張でどうにかなっちゃいそう……まさか私がこんな大勢の目の前でパンスト兵様のご奉仕をするだなんて……すがるようにハイグレ人間様の方を見やる。
「みなさん、滅多にない機会ですのでしっかり目に焼き付けて、羽野さんのお母さんのご奉仕技術を今後の参考にしましょう。それではお母さん、始めて下さい」
「は、ハイグレッ! ハイグレッ!! ハイグレッ!!!」
了解の意のハイグレを返す声が少し裏返ってしまう。確実にリンゴのように真っ赤になっているであろう私の頬に向かって刺すような視線が更に集まる。……このままじゃダメだわ! と覚悟を決めて眼前のパンスト兵様のお顔とまっすぐに向き合う。
「あっ……♥」
目と目が合った瞬間、浅く速く打っていた鼓動が、鼓膜に響くほどに深く遅くどくんと高鳴った。ドキドキの意味が変わって行く。ハイグレ人間見習いの本能に従うように素早くその場で正座すると、両手で三つ指をついて頭を床に擦り付ける。そのままの姿勢でパンスト兵様からの「お許し」を待つ。
「……土下座したまんま動かなくなっちゃった」
「ねえ先生ー! 小冬ちゃんのお母さん、なにやってるの?」
「うふふ、見ていればわかりますよ」
じっと目を瞑り、意識を後頭部に集中させる。…………あっ♥ 「お許し」きたっ♥
「ご覧のように、土下座した頭にパンスト兵様がおちんぽ様を乗せてくださる動作は、ご奉仕の許可の合図を意味します。榎本さんがやったようにいきなりパンスト兵様のお身体に触るのは失礼に当たりますので、みなさんもぜひ見習うようにしましょう」
後頭部から熱いおちんぽ様の感触が離れて行く。いち、にい、さん、しい、ごお、ろく、なな、はち、きゅう、じゅう。パンスト兵様が席に戻られたであろう頃合いを見計らって、ゆっくりと顔を上げる。
「ありがとうございます、パンスト兵様♥ では、失礼致します……♥」
土下座の姿勢のままお尻を持ち上げて、パンスト兵様のお膝元まで四足歩行で歩み寄る。なるべくゆっくりと。
「まるでメス猫のような仕草で大変素晴らしいですね。みなさんも、直接的なご奉仕だけでなく動きの随所でパンスト兵様に喜んでいただくよう心がけましょう」
おちんぽ様の元に到着。そのままの体勢から、天を突く亀頭めがけて首を伸ばして、すぼめた唇を伸ばして行く。
「んむっ……」
チュッ! と大きく音を立てておちんぽ様とキスした唇をいったん離す。そのまま一気にむしゃぶりつく。
「わあ! パンスト兵様のおちんちんなくなっちゃった!」
「ノドに当たっちゃってるんじゃない、あれ……苦しくないのかな?」
「すごぉい、委員長のふぇらちおとはぜんぜんちがう!」
「パンスト兵様のおちんぽ様をお口の中に迎え入れる時は、このように喉の奥でしごいてあげる要領で根元まで咥えるととても喜んでいただけます。訓練が必要な高度な技術ですので、今後習う予定のみなさんも予習しておくことをおすすめします」
よいしょ、よいしょ、よいしょっと。うーん、おちんぽ様あんまり嬉しそうじゃないなぁ、まだちょっと早かったかも。喉を閉じて少し浅めに咥え直す。
「みなさん! ここ、大事なところですよ! フェラチオはただ頬をすぼめて上下に頭を動かせばいいというわけではありません。時には亀頭を重点的に攻めてみる必要もあります。舌を縦に横に斜めに向きを変えて、裏筋や鈴口を色んな角度から愛してさしあげる……みなさんも羽野さんのお母さんのように創意工夫をもってフェラチオするよう心がけましょう」
あっ♥ むくむくって♥ 亀頭膨らんできたっ♥ 言葉を交わさなくても喜んでいただけてるのが分かる……この瞬間、大好き……♥ もっと頑張っちゃお……よいしょっと♥
「おや、四つん這いの体勢から蹲踞へと移行するようですね。同じ体勢のままではパンスト兵様の視界も単調になってしまいがちですからね、こうして色々なポーズを取って飽きの来ないご奉仕を目指しましょう。蹲踞の際もなるべくへっぴり腰になって、背中からお尻にかけてのラインをパンスト兵様に見せつけるようにしましょう。何事も、パンスト兵様目線が大切です」
せっかくだから、アレもやらなくちゃ……♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥
「これは先ほど榎本さんがやろうとしていたハイグレフェラチオですね。榎本さんは教科書通り、『ハイグレ』と発音しながらフェラチオを行なっていましたが、それではご奉仕の動作が散漫になってしまいあまり実践的とは言えません。羽野さんのお母さんのハイグレフェラチオは、一見無作法に見えますが、心の中でハイグレを唱えてさえいれば問題はありません。みなさんも、覚えておくといいでしょう」
「……小冬ちゃんのお母さん、とっても気持ち良さそう……」
「ねー、なんかオトナのオンナのごほーしって感じ! なんか見てるだけで変な気分になっちゃう……♥」
ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ ハイグレッ♥ハイグレッ♥ あっ、ああっ♥ 亀頭ふくらんでっ♥ 喉のっ♥ 上の方♥ コツコツって叩いて♥ くるっ♥ だして♥ だしてください♥ ハイグレッ♥ ハイグレええええええええええええ♥
「んんんんんんんんんんんん!!」
「……動かなくなっちゃった」
「ばか! パンスト兵様どっぴゅんしたんだよ」
「えっ、うそー! びゅるるるって音しなかったよ?」
「マンガじゃないんだからそんな音出るわけないでしょ。それくらい理解しなさいよ」
「むうー、委員長なんかきびしー! 小冬ちゃんのお母さんがスゴかったからしっとしてるんだー」
「う、うるさいっ!」
「こらこら、静かにしなきゃダメですよ。射精には余韻がありますからね。今この瞬間も、パンスト兵様は喜んでおられるのです。邪魔になるような言動は慎みましょう」
……………………♥ ああ、私もイっちゃった♥ うふふ、フェラチオしながらパンスト兵様と一緒にイくの気持ちイイ……♥ しかもたくさん射精していただけた……ああ、嬉しい、せーえきおいしいさいこおぉ……♥ よいしょ♥ せーのっ、ごっくん♥
「せんせー! あれは何やってるのー?」
「射精していただいた後は、お口の中の精液をどう扱うか、その仕草が一連のご奉仕の締めくくりになります。いやらしく飲み込んだり吐き出したり、種々方法はありますが、羽野さんのお母さんは『音』に重きを置くタイプのようですね。ああやって、パンスト兵様の耳元で精液を一気に飲み込んで、その音を聞いていただく……みなさんも、普段の実践学の中で自分の得意な締めくくり方法を模索していきましょう」
ああっ、精液飲んだだけでもう一回イキそうになっちゃった……♥ いけないいけない、ちゃんとおしまいのご挨拶しなきゃ……♥
「ごちそうさまでした、パンスト兵様……♥」

 パチパチパチパチパチ! と破裂音に我に帰る。どうやらみんなに拍手してもらっているようだ。夢見心地のご奉仕から現実へと引き戻された反動と、私の拙いご奉仕を周囲に賞賛してもらえた喜びとで、なんだかぼーっと気恥ずかしくなる。
「素晴らしいご奉仕実演でしたね、お母さん。パンスト兵様にも喜んでいただけたようですし、みなさんへの良いお手本となりました。榎本さん、羽野さんのお母さんの実演、参考になりましたか?」
ハイグレ人間様に訊かれて、ぶすっとした表情の委員長ちゃんが口を開く。
「はい……。私のごほーしはまだまだなんだなって、よく分かりました。もっと実践学を頑張りたいと思います」
言い終えた委員長ちゃんが据わった眼をこちらへ向けてくる。少し怖い。とはいえ、考えてみれば委員長ちゃんの手柄を横から奪ったも同然なので、彼女の不興を買うのも無理はない。そして小冬はと言うと……。
「こ、小冬? どうだったかしら……お母さんのご奉仕、ちゃんと見てくれた?」
委員長ちゃんの脇に隠れて俯いたままの小冬は、私の言葉が聞こえているのかいないのか、反応を示してくれない。いったいどうしたのかしら?
「小冬……?」
「さわんないでっ!!」
私の伸ばした手を、小冬が振り払う。その力があまりに強かったせいで、よろめいてぺたんと床に尻餅をついてしまった。
「なんで……なんでそんな気持ち悪いコト平気でできちゃうの!? ず、ずっとガマンしてきたけど、もう無理! もうやだ!! お母さんも! 委員長も! 先生も! みんな頭おかしいよ!! あんなパンスト被った変なヤツに嬉しそうにいやらしいことして! ハイグレハイグレって毎日毎日ばかみたいに! こんなのもうやだ!! 帰る!! お姉ちゃんとお父さんトコに帰る!! もうお母さんなんて知らない!! 大嫌い!! みんなみんな大嫌いッ!!!」
小冬が満面の笑みで堰を切ったように私のご奉仕を褒めてくれる。もう、小冬ったら、みんなが見てる前でそんな褒めちぎられちゃったら照れちゃうじゃない、お母さん大好き! だなんて♥
「ええ、私も大好きよ、小冬♥」

 小冬と一緒に並んで歩いてきた薄暗い廊下を、帰りは私ひとりで歩いて部屋へと戻った。本当は、私の実演の後も授業参観は続く予定だったそうなのだけど、なぜか突如中止となってしまった。ハイグレ人間様が仰るには「お子さんの思想矯正が必要」とのことで、あの直後、小冬はパンスト兵様に連れられてどこかへ行ってしまった。思想矯正? 訊いても全く理解できずぽかんとしていると、ハイグレ人間様は女神のように微笑んで「心配しなくてもいい」と仰ってくださった。「お子さんは今からパンスト兵様と一緒に課外授業を行うので、しばらく帰って来ないが、帰って来た時は今までと変わらず優しく接してあげてほしい」と、いまひとつ状況が飲み込めない私にとてもわかりやすく説明してくださった。
「はやく帰ってきてくれると嬉しいな……」
ちょっと寂しく感じてぽつりとこぼしてしまう。あら、いけないいけない。小冬は今、より素晴らしいハイグレ人間見習いとなるべく、パンスト兵様直々の薫陶を受けているのだ。出来るだけ時間をかけてじっくりと教わった方が良いに決まっている。ああ、課外授業を終えて一回り成長して帰ってきた時がとっても楽しみ……ファイトよ、小冬!

コメント

非公開コメント