新興宗教ハイグレ教 退会者へのインタビュー

 きっかけは夫の一言でした。「お前さ、最近太ってきたよな」ってあの人、言ったんです。当人はからかい半分のつもりだったんでしょうが、私にはその心無い一言がひどくショックで……それで年甲斐もなく口論になってしまって……言われてみれば確かに、娘をふたり生んで、結婚当初に比べればずいぶんとだらしのない体型になったなと感じてはいました。私としてはそれが年齢を重ねるということだと思っていましたし、夫もかつての溌剌としたところがなくなっていって、ああ、これが一緒に歳をとっていく夫婦の妙味、とでも言うのでしょうか……それを一方的に裏切られたような心持ちがして、私も勢い余ってひどいことをあの人に言ってしまったんです。
 夫婦喧嘩はあっさりと彼の謝罪によって幕を閉じましたが、顧みると夫の言にも聞き入れるべきところはあるようにも思えました。学生の頃はあんなにも彼に可愛がってもらおうと外見に内面にと自分磨きに心を砕いていたのに、いざ結婚してしまえば夫婦の関係に胡座をかいて今に至るまで、これといった努力をしてこなかった私の方にも落ち度はあったなって……。
 それでスクールへの入会を検討したんです。テレビでも頻繁にコマーシャルが流れていて以前から気になっていましたし、周囲から伝え聞く評判もとても良かったもので……まあその、あの大胆な格好はさすがに躊躇われましたが……無料の体験入会から始めることもできましたし、物は試しだと思いきって行ってみることにしたんです。
 都内でも数十カ所に点在する店舗の中でも自宅から最寄りに位置する駅ナカのスクールはアクセスの良さも手伝ってか、とても盛況でした。平日の昼日中にも関わらず、駅ビルの出入り口に若い女性がひっきりなしに吸い込まれていって、彼女らを満載したエレベーターはまっすぐスクールのある階を目指して昇って行きました。暖かい時分でしたから、人混みのなかには例の、あの格好を普段着代わりに少し露出させた過激なファッションの女性も目立っていて、目のやり場に困りながら入口をくぐったのを今でも覚えています。
 男子禁制のスクール内はとても清潔でお掃除も行き届いていて、なんだか頭がぼーっとなるような、気持ちをリラックスさせてくれる甘い良い匂いが辺りに立ち込めていました。恥ずかしながらそれまで、一般的なフィットネスジムのような所にさえ行った経験はなかったので、そういう所は汗臭かったりジメジメしていたり、禁欲的で攻撃的で怖そうな人たちがうろうろしているような空間なんだろうな……といった先入観から警戒していたのですが、そこでは受付の人もインストラクターの人もとてもてきぱきとしていて親切で楽しそうに働いていて、あらゆる点から見ても好感が持てました。
 それでもやはりあのレッスン着を着用するのは抵抗があって、女の人でひしめく更衣室の隅っこの方で意を決するまで不用に時間をかけてしまいました。いつまで経っても着用しない私に周囲が好奇の眼差しを向けているような卑屈な気分に襲われてようやく、急かされるようにして股ぐりに一歩踏み出しました。
 初めて着用した感想ですが、やはり羞恥以外に何かを感じる余裕はありませんでした。よく「世界が変わった」「自分が違う人間に生まれ変わったみたいだ」「自分の本当の使命を理解した」みたいに仰る人がいますが、ちょっと大げさというか……ご期待に添えず申し訳ありません。
 黒色を希望したのですが、受付で手渡されたのは白色でした。なんでも、自分から望む色は変化を嫌う保守的な選択に留まり心身の変革の妨げになるので真逆の色を着用する決まりがあるらしく、理屈は呑み込めたのですが、その……汗で濡れると透けちゃいそうだなって思うと恥ずかしさに拍車がかかって、着終わった後もみっともなくもじもじしていました。
 着用後に通されたのは四方が鏡張りになっているがらんとした部屋で、無料体験はインストラクターの方とふたりきりで行われました。よく雑誌やテレビや動画配信なんかで紹介されているような、大勢の女性が一斉に同時にポーズを取るのがスクールの一般的なイメージですが、初心者用の練習や中〜上級者用のフォームの矯正を行う時などは鏡越しにひとりで、あるいはふたりで向かい合って、最多でも4人以下で行うのが良いのだそうです。これなら大勢の目に留まる心配がなくて安心だと思う反面、インストラクターさんとふたりきりというのもそれはそれで……彼女は私よりもひと回り以上は若く、身体も美しく均整が取れていて、おなか周りや太ももや二の腕の贅肉が気になる私とではこうも着用した姿に差が出るのかと、こんな醜態を晒してしまうのなら来なければよかったとさえ思ってしまいました。そんな私を慮ってか、彼女は私に対して自分にもっと自信を持つよう、身体を隠さず背筋を伸ばすようやさしく指導してくださいました。
 無料体験そのものは1時間ほどで終わりましたが、体感ではほんの数分ほどしか経っていないように思われました。それは決して「楽しい時間はあっという間に」などというような安穏としたものではなく、運動の激しさから板張りの床に突っ伏して肩で息をして、何かを感じている余裕を失っていただけに過ぎませんでした。私は普通の人と比べて格段に筋が悪かったらしく、脚を広げて腰を落とし、そのまま腕を使わず体勢を保つだけで青息吐息になってしまってインストラクターさんを困らせてしまいました。それでも彼女は私を励まそうと、すぐに疲れてしまうのは体幹が鍛えられていないからだ、そんな貴女にこそスクールのトレーニングは効果覿面、ぜひ今後もウチに通ってほしい、何なら無料体験期間を一週間まで延長することも可能だし、この時間帯で定期的に通うのなら格安プランの用意もあると熱っぽく勧めてくださいました。
 まぁそれなら、と延長を希望してやっと、基本中の基本であるあのポーズを教わることになりました。膝を外側へ直角に折り曲げた体勢をキープすることにより内転筋から恥骨筋までの脚部のインナーマッスルを効率良く鍛え、肩の位置まで腕を大きく振り上げることによって肩周りに、恥骨の位置まで振り下ろすことによって下腹直筋に働きかける他に類を見ない独特のポーズは見かけ以上に過酷で、これをほんの少し行うだけでへとへとの汗だくになってしまいました。巷では「腕を振り上げた瞬間、新しい自分が解放された」「腕を振り下ろした瞬間、志を同じくする女性たち全員と意識が一体化するのを感じた」なんてまことしやかに嘯かれていますが、私にとってはただただ疲れるだけで、肯定的な印象はいっさい受けませんでした。
 それでも一週間、筋肉痛に耐えながらスクールに通ううちに、トレーニングの効果が少しずつ現れていくのを実感しました。疲労の深さと癒えるまでの期間の長さが日を追うごとにあまり苦にならなくなっていって、インストラクターさんは、それは体幹が鍛えられた成果だと、まるで自分のことのように喜んでくださりました。しかしインナーマッスルの強化は見かけにさしたる変化を齎すものではなく、私の当初の目的であった腕や脚やおなかのぷにぷに感はさほど改善されないまま体験期間はあっという間に終了してしまいました。
 その日の夜、正式に入会して良いかと夫に打診してみると、彼は快く許してくれました。許してはくれましたが、その時ヘラヘラ笑って放った一言は今でも忘れられません。
「どうせ長続きしないだろうけど、それで本当に痩せられたら儲けものだ」
 それから私は家事の合間を縫ってほとんど毎日スクールに通い詰めました。夫を見返してやるんだと、必死の思いでレクチャーを受け続け、ポーズの持続時間もみるみる伸びていき、集団レッスンを受ける頃にはレッスン着姿の自分を鏡越しに見るのも恥ずかしく感じない程度には体型が変化しているのが目に見えて分かるようになりました。
 集団レッスンはスクールの花形で、デモンストレーションなどでよく見かける数十人単位で行われるような大規模なものは上級者にしか行うことができない大変高度なワークアウトです。その効能の最たるものは、「感覚の共有」にあるそうです。小難しい理屈は割愛しますが、同じ空間内に同じ格好をした人間が同じ行動を同じタイミングで同じ回数行うことにより、周囲の人たちとワークアウトの成果を相乗的に分かち合うことができるのだそうです。10人で行えば運動効率は10倍に、100人で行えば100倍に……当初はそんな都合の良い絵空事が実在するわけがないと疑っていましたが、スクールの諸先輩方と一緒にレッスンを行っていると、あながち無い話ではないなという気持ちにさせられるのが正直なところでした。感覚を共有するためにはとにかく「思いを束ねる」ことが大事だとインストラクターさんは常日頃から口を酸っぱくして私たちに説いて下さりました。そのためには全員で無心にポーズを取ることが肝要で、一種の禅のような精神修行に通ずるものがそこには存在しました。雑念を取り払い、心を空っぽにして両腕を上下させるたびに、快い疲れとともに私の胸中に去来する静謐な安らぎ……やれ結婚だ出産だ子育てだと自我の無い流されるような奔走する日々の裡に失ってしまっていた自分自身が取り戻されていくような充足感……それに伴って私の肢体は結婚当初のような輝きを放ちつつありました。もはやお腹に贅肉をつまめるような余地はほとんどなく、体重も長女の出産以前にまで戻り、髪や肌の色艶も劇的に改善されていきました。
 これで夫婦仲も改善されてめでたしめでたし……なら良かったのですが、そちらはあまり芳しくありませんでした。いえ、夫に非は全く……むしろとても喜んでくれていましたし、夜も、三人目の予定が無いにも関わらずまるで新婚の頃のように睦み合うようになりました。それでもなぜか、私の心の内にはある種の蟠りが募る一方でした。最初はそれが何なのか私には分かりませんでした。でもある夜、射精を終えて満足そうにベッドに倒れ込んで眠りこける彼の顔を見て貫かれるように確信したんです。
 それは不快感でした。鍛えられた心身とともに鋭敏になった私の五感には、彼の加齢臭、無精髭の感触、でっぷりと太ったお腹周り、間の抜けた鼾……いったん思い当たってしまうと、鼻に手に目に耳に感じる彼の全てが私をざわざわと苛立たせました。しかしなぜ苛立つのか……元はと言えば夫に喜んでもらおうと始めたことなのに……理由の不明から来るストレスを発散させようと、私はさらにスクールにのめり込んでいきました。プランは朝から深夜まで通える最上のものを選び、クローゼットにはスクールが販売しているレッスン着の全色36着が収まり、スクールへ脚を伸ばす頻度も毎日では飽き足らず日に二度……早朝に出かけ、最低限の家事をこなしに家へ帰ってまたスクールへとんぼ返りすることも珍しくはありませんでした。
 それが原因で今度は長女と口論するようになっていきました。次女はまだ小学生なので事情が飲み込めていないのか私が美しくなっていくことを無邪気に喜んでくれましたが、長女は多感な時期ですし高校受験も控えていましたから、家庭を顧みず自分のことにうつつを抜かす母親が許せなかったのでしょう。その言い争いの場でも、私は長女に対して、夫に感じていたような不快感を強く覚えずにはいられませんでした。元々、彼女とは母娘としてソリが合わないように感じてはいましたが……世間知らずなまま育った私とは違い、長女は夫に似た利発な気質があってか私の浅学を嘲るようなきらいが平生からありました。
「良い歳して痩せたいだの綺麗になりたいだの、恥ずかしくないの?」という一言に、夫以上の無神経さを覚えてからは口喧嘩に拍車がかかるばかりでした。
 そんな雑念を持ち込んでスクールへ行っても良い効果が得られるはずもなく、私は次第に伸び悩み行き詰まっていきました。集団レッスンは集中力を欠くと成果が思うように得られず、それは一緒にポーズを取る周りの女性たちの足を引っ張ることにも繋がります。彼女たちはそんな私を非難するどころか何があったのか代わる代わる優しく聞いてくれ、打ち明け話にも面倒な顔ひとつ見せずに親身に相談に乗ってくれました。
 とはいえ、愚痴を聞いてもらうだけでは根本的な問題の解決に至らないのは自明で、「そんなの気にすることないわよ。ウチの旦那も……」「きちんと話し合えばわかってくれるはず」なんて紋切り型の言葉で互いの家庭環境を自虐し、時には自慢し合うように憂さを晴らすのは私の性に合わなかったようで、とうとうスクールに行くことさえ億劫になっていきました。
 昼間の集団レッスンに顔を出すのは躊躇われる、しかしスクールは退会したくはないし、家庭に波風を立てたくもない……次第に私は家族が寝静まった頃合いを見計らって、夜間のスクールへ足繁く通うようになっていきました。深夜帯の顔ぶれは昼間の主婦層とはがらりと変わって、仕事帰りのOLや女子大生と思しき若年層が目立ちました。夜間はインストラクターさんがいらっしゃらないので集団レッスン等は行われないこともあってか、施設利用者は踏みしめたゴムチューブや二の腕に重りをあてがう専用のポージングマシン、あるいは胸の高さまで水が浸かるよう調整された特殊なプールなどで手足に負荷を掛けつつ思い思いにポーズを取る人たちが大勢を占めていました。そこには昼間の和気藹々とした雰囲気とは無縁な、それこそ一般的なフィットネスジムに似た禁欲的な気風が支配的で、知り合いもいない私はおっかなびっくり器具運動に参加しました。
 通常のポーズと同様の体勢、大股に脚を広げたまま椅子に座って、二の腕の外側で重りを引き上げるチェストプレスのような器具は、なるほど確かにポーズを取る際の主要な筋肉にしっかりとした負荷を感じさせてはくれましたが、私が求めている充足感は残念ながら得られませんでした。私は気持ちが良いからポーズを取るのであって、筋肉に苦痛を強いてまでポーズに磨きをかけようというのはどうにも矛盾している……そう感じるともう器具運動に魅力を感じることができず、周囲の目的別器具が何か異様な拷問用拘束具のように見えてきました。特に背後に鎮座する巨大なバーベルの独特な威圧感——それを担ぐようにして持ち上げている間じゅう、開いた両脚の股ぐりの前を白い手刀型マジックハンドがガシャンガシャンと音を立てながらV字に行き来し、その擬似ポーズを、バーベルが持ち上がっている限り何度キープできるかに挑む——はもはや馬鹿馬鹿しくもあり、半ば呆れたようにバーベル挑戦者を眺めていましたが、マウスピースを装着した歯を食いしばりながらこめかみに青筋を立てている女性とサングラス越しに視線がかち合うと瞬時、真剣に己を高めんとしている彼女の営為に水を差すような申し訳なさが感じられ、そそくさとその場を後にしました。
 その後も一通り個人用のエクササイズマシンを試しながらフロア内をふらふらと周りつつ、最後に、シャワー室に隣接したプールに入りました。プールといっても競技用レーンが連なった一般的な長方形のものとは趣を異にしたそれは、どちらかというと直立したまま入る一人用のジェットバスのような形状をしていました。上からざぶんと入ると水が胸の辺りまでせり上がり、そのまま水中で両脚を広げてポーズを取ると腕に脚に水の抵抗を感じつつエクササイズが行える、といった代物のようでしたが、いざ入ってみると水が鎖骨の辺りまで迫ってくるので膝を曲げると顔まで浸かってしまい息ができません。そのままもがもがと文字通り足掻くように水中をバタバタしている私の背後でクスクス笑う声が聞こえました。振り返ると、先刻、バーベルを持ち上げていた女性の姿。彼女が屈み込んでプールの縁に手をやると、勢いよく床下へ抜けていく水流を全身に感じました。ものの数秒で水位が私の鼠蹊部の上辺まで下がると、彼女は笑みを崩さず掛けていたサングラスを外しました。バーベルを持ち上げていた時のような力みが取り払われたその表情は柔和で穏やかで、「水位はきちんと調整しないと危ないわ。ここに調節パネルがあるから」と優しく教えてくださったお声は慈愛に満ち満ちていました。プールの中から見上げたそのお姿は輝くような金色の長い髪にうっすらと日焼けした、それでいてなめらかな柔肌を覆う私と同じ白色のレッスン着。此方へ差し伸べられた手を取ると、私の身体は水中から楽々とプールサイドまで引き上げられ、私がお礼を言うとくだけた調子で手を振ってにこやかに応えてくださいました。
 お姉様とはすぐに打ち解け、親しくなりました。プールサイドに設えられたビーチチェアに座り、互いに軽く自己紹介を終えると私たちは10年来の友人であるかのように身の上話に花を咲かせました。ここで断っておかねばならないのですが、このひとときは私にとって極めて重大な意味を持ちこそするものの、なにぶん彼女のプライベートに根ざす事柄が多く、ここでは詳しくは語りません。ただひとつだけ、私は「お姉様」と呼びはしましたが、彼女が私よりも年下であった事実は強調しておかなければなりません。あのお方が年増女などというニュアンスで捉えられてしまうのは堪えがたい誤りであり、敬称でお呼びするのはひとえにお姉様が私などよりも遥かに人生における経験に、人間的魅力に、ハイグレの美しさに富み、敬うに値する大人物であるからに他なりません。
 軽口が過ぎました。話を戻します。その後、我々は連れ立って運動器具のフロアを後にして集団レッスン用の鏡張りの一室へ足を運びました。本来、深夜帯は使用を禁止されている区画ではありましたが、お姉様の権限に際限はなく、広々とした部屋をふたりで独占する運びとなったのを、今でも興奮の裡にありありと思い出すことができます。お姉様は私の身の上話を親身に聞いてくださり、家庭の不和によって千々に乱れた心を癒してあげると優しく囁き、両脚をゆっくりと開いて腰を落として両手を伸ばして私を誘いました。その所作はこれまでに見た誰よりも美しく優雅で力強く、しばし見惚れてぼーっとしていましたが、すぐに思い直してやや距離を置いて向かい合わせになりました。
 同じ部屋でインストラクターさんを介して初めて行った時の情景が思い出されて初心に立ち返ったからか、慣れない器械運動によって疲労していたからか、あるいはお姉様を前にして緊張してしまったからか、思うように上手くポーズを取ることができません。むやみに息が弾み、腕も脚も重く、滴る汗に目が塞がり、声は上ずって動作との一体感を欠いてしまいます。そんな私のちぐはぐなポーズにぴたりと息を合わせ、私の主体性を重んじながらも半歩先を行ってこちらを待ってくれているかのようなお姉様のポーズに伴うその妙なる声色はがらんどうの部屋の鏡張りの四辺を乱反射するかのように私の鼓膜をあらゆる角度から揺らし、その甘やかな響きに身を委ねると、もう何も考えることができなくなっていきました。お姉様に合わせて腕を振り上げると、新しい自分が解放されました。腕を振り下ろせばお姉様と意識が一体化するのを感じました。世界が変わりました。私は今までの私とは違う人間に生まれ変わりました。自分の本当の使命を理解しました。
 その後、私はスクールを退会しました。私に与えられた使命の重みを知ると、スクールで行われているような、自分だけが健康になろうだなどという我が身可愛さからくる利己的な考えに、我慢できなかったからです。それはただの「ポーズ」であって、「ハイグレ」ではなかったのです。その真理に到達した私を、お姉様は祝福してくださいました。生まれ変わった私に新しい名前を付けてくださり、スクールに代わって今後私が脚を運ぶべき場所、従うべき規律、跪くべき存在の素晴らしさを説いていただき、そして今に至るのです。
 私からは以上です。わざわざ自宅までご足労頂いたにも関わらず所望されていたような類の話をお聞かせすることができなかったようで……ご期待に添えず申し訳ありません。ここからは引き続き、教団の者から二、三、お話しておきたいことがありますので私は失礼致します。どうなさいました? 顔色が優れないようですが。もうご理解いただけているかと存じますが、ここ最近あなたのような、教団の下部組織であるスクールの悪評を集め、耳目を集めるためだけに炎上記事を組もうとする記者崩れが多く、我々も閉口していました。彼らがすべて、あなたのように無能で無思慮で無計画だと話が早くて助かるのですが……ああ、どうかそのままゆっくりなさってください。今、お茶のお代わりをお持ち致します。

コメント

ぬ。

執筆お疲れ様です
この新雪を踏みしめるような感覚…たまらん…
ねっとりとした人妻視点から織り成されるストーリー
ハイグレムーンを彷彿とさせるハイレグ水着を着用してのレッスン
まさに0106さんの真骨頂。これはハイグレの日にふさわしい…
お姉様の登場で話の流れが徐々に変わっていき…オチまでずっと手に汗握るストーリーでした
果たして記者さんはどうなってしまうのか…妄想が止まらなねえぜ

執筆お疲れ様でした。
ごく普通の専業主婦がハイグレにのめり込んでいく過程…最高ですね。
周囲を巻き込んだ洗脳劇が起こるのかと思いきや、ハイグレの魅力にとりつかれつつも
旦那や娘との関係に心の中で葛藤している様など、人間味が溢れていて親近感を覚えます。

そんなSSを書けてしまう0106さんはやっぱり凄い。

ROMの人

ハイグレ小説のはずなのにハイグレという言葉がなかなか出てこない。人妻もなかなか堕ちない。だからこその終盤の変貌っぷりが映えるというもの。ハイグレの日にこんな挑戦的な小説を投下するなんてどうかしているね。お姉様…一体何者⁉︎ふふ。おいらは知っているよ。

0106

>>ぬ。さん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!
まだ誰もコメントをつけていないブログに足跡をつける初めての相手は!このぬだッ!(謎DIO)(`・ω ・´)「ハイグレ教」はフロント団体であるフィットネスクラブを使って「美しくなれる!」で女性を釣り金策とプロパガンダと教徒選別を行っているっていう設定なので、『ハイグレムーン』からめっちゃ材料を拝借しています。ぜんぜんハイグレってワードが出てこないのでハイグレの日にこんなんでええんか!?って言われちゃうと弱いなぁって思ってたんだけど、ふさわしいって思ってもらえたなら嬉しいで…!
記者さんは今後出せたらええなぁって思ってるで!(女性記者が教団に潜入!みたいなプロットを加工して出番にできるかも)

0106

>>zさん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!
ほんとはもっと「ハイグレによって磨き上げられた崇高なカラダを夫のような下劣な人間に触られたくないわ!」みたいな思いが芽生えてスクールで知り合った女性とレッズレズな関係に発展するが実はその相手が…?みたいな直球めなえっちさを目指してたはずなのに、二人称で語って聞かせるあらすじとしては不適切やろなぁって脳内反対意見に押されて現行の陰な内容と相成り申した…人間味・親近感を前面に押し出して「こんな話、現実世界のどっかに実際に転がってるのでは…?」みたいに思わせられるようなお話を今後も書きたいでえ…!

0106

>>ROMの人さん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!
ハイグレの日にこんなとっつきにくいお話を提出するのん不安でいっぱいやったんや…!
なかなか堕ちないのは「現実世界でひと一人洗脳するのはこんなに大変で、やっぱりハイグレ魔王軍はすごいぜ…」みたいに思っていただければ幸いやで…色々と描写に不十分な感が残る「お姉様」の気になる正体はROMさんが一番詳しく知ってるやろなぁ…(謎丸投げ感)

ムゲン

お疲れ様です!
人妻視点からなされるストーリーとてもよかったです。
夫や長女との人妻ならではの悩みを抱える主人公の心を救ったお姉様。一体何者なんでしょう?
でも主人公は無事救われ、自分の道を見つけることができたようですね。

斬新なアイディアのSS・・・。さすがです!楽しませてもらいました!

0106

>>ムゲンさん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!
ハイグレ小説はどちらかというと若い子が主人公に据えられて、ママンみたいな立ち位置のキャラはあくまでハイグレ人間の年齢的守備範囲広げ要員、みたいな配役が多いので、隙あらばこういう作品でバランスを是正していきたい所存…!
長女とお姉様については今後続編にて登場させる予定があるので期待しないでのんびり待っていただければ幸いやでえ…(夫は需要ががが…)そしてやはりハイグレは救済…!!

香取犬

美文調っぽさを感じる語り口や、お姉様に憧れ惹かれていく私の秘めた思いなど、吉屋信子の『花物語』を彷彿とさせる耽美な雰囲気漂う小説でした。
それでいて、「私」の目を通して描かれる描写が具体的で緻密であることが作品世界の輪郭を際立たせ、まるで現実の体験談であるかのように感じさせてくれました。
例えば、スクール内にあるトレーニングマシンやレッスンの内容、夫に対する不快感。そして何よりレッスン着の着用描写については、0106さんが常々好きだと仰っているのが見事に反映されていると思います。

宗教にのめり込む要因の一つには身近な人との不和があると聞きます。「私」もまた夫や娘の言葉に傷ついたり、スクールの主婦たちと反りが合わなかったりして、徐々に疎外感を感じていきます。
そこに現れた、自分を受け入れてくれるお姉様という存在。それにのめり込んでいってしまうのもむべなるかな、という説得力がありました。

個人的に特に気に入った表現として、以下を挙げたいです。
>私は今までの私とは違う人間に生まれ変わりました。自分の本当の使命を理解しました。
ここに至る「~た。」調の短文で畳み掛ける表現が、お姉様に一気に心酔していく「私」をよく表現していてとても良いなと思いました。

0106さんの文章表現やそこに込めている作者の視線は、いつも全編を通して丁寧なので、執筆に時間がかかるというのも当然かと思います。
今回も執筆お疲れ様でした。
……あれ? ハイグレ小説としての感想がログアウトしちゃってます?

0106

>>香取犬さん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!

吉屋信子は残念ながら読んだことはないけども、大阪弁で書く方法に悩んでた頃にハマってた谷崎潤一郎の『卍』と、語って聞かせる文体は最近読んだカズオ・イシグロの『日の名残り』から、都合二作品から猛烈に影響を受けている手応えがアリアリであります(特に後者への露骨な模倣感ががが…)

「もしかしたら現実のどこかで実際に起きた出来事なのでは…!?」みたいに思ってもらえるよう尽力したので、現実感みたようなものを感じ取っていただければ光栄の極み…!家族間の繋がりは必要以上に息苦しくしてしまった感もあるので、このへんは「好意的に受け取ってくれている次女」との絡みがもう少し増やせれば良かった、という反省と、ほんとはラストにお姉様から物理的に愛してもらって、「私はお姉様のモノです…私のカラダは夫にはもう指一本触れさせません…!」みたいな百合NTR的要素をブチ込みたかったんだけど、うまくいかなかったので割愛しちゃってそのへんが次作で挽回できればええなぁ感…

「私は今までの私とは違う人間に生まれ変わりました。自分の本当の使命を理解しました。」は私が困ったときにやっちゃう「前半に出た表現をお話のラスト辺りで拝借して、同一の表現でお話の端と端を『きゅっと包む』やつ」で、これが出ると0106的には相当苦しんでる証拠なので突っつかれると弱い…そこを褒められると嬉しい…

ぜんぜんハイグレ小説っぽくない出来上がりなので感想が難しいのも多少はね? ではでは、「長文での感想ありがとうございます!」(謎ツイッター絡み感

ボイロの人

投稿お疲れ様です!
ハイレグ水着を着ての集団レッスン…なんとも羨ましい光景…!
一人称視点で行われる心境の変化や感情の丁寧な描写は凄いの一言…流石0106氏やでぇ…
そしてこの妄想掻き立てる気になるラスト…素晴らしい…

0106

>>ボイロの人さん

こんばんハイグレ!&感想ありがとハイグレ!

ふふふ羨しかろう…しかし男子禁制なのだ!(もっと夫とか活用して男子禁制感出したかった…)
厳密には二人称のつもりなんだけど所々一人称になっちゃってるのでガバガバなのじゃ…ガバガバなりに喜んでいただけてウレシイ…ウレシイ…
ラストはどこかで回収するつもりなのでがんばるで!(形になる自信があるとは言ってない)感想あげ直してくれて重ねてありがとハイグレ!!
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