0106のハイグレ小説置き場

完結済みハイグレ小説を放り込んでます

  • 新興宗教ハイグレ教 退会者へのインタビュー
     きっかけは夫の一言でした。「お前さ、最近太ってきたよな」ってあの人、言ったんです。当人はからかい半分のつもりだったんでしょうが、私にはその心無い一言がひどくショックで……それで年甲斐もなく口論になってしまって……言われてみれば確かに、娘をふたり生んで、結婚当初に比べればずいぶんとだらしのない体型になったなと感じてはいました。私としてはそれが年齢を重ねるということだと思っていましたし、夫もかつての溌剌...
    2020/08/19
    短め
  • 魔王様の素晴らしさを再確認するわよ!
     お墓参りの帰り道、右手に広がる稲田から吹き抜けてくる冷たい風が頰に気持ち良い。立ち止まって麦わら帽子を脱ぎ、髪を搔きあげて帽子の下にこもっていた熱気を追い払っていると、視界に覆いかぶさってくる長い黒髪が鬱陶しい。いっそのこと切っちゃおうかなと、ひとりごちると去年も似たようなことを言っていたような気がする。でも、バッサリ切ったりしてクラスの男子に「あいつ失恋でもしたのか?」なんて根も葉も無いハレン...
    2020/07/24
    短め
  • To LOVEる -とらぶる- ダークネス 第19.5話「Nostalgia? 〜あの時、あの場所で?〜
    「珍しいわねぇ、唯がアルバムを見たがるなんて」「べっ、別に! たまには昔を振り返ってみるのも悪くないなぁって思っただけだから……」「ふぅん……見終わったらちゃんと本棚に戻しておくのよ」と洗濯物を畳みながら言うお母さんと互いに背を向けあいながら、私は私ではーいと生返事でその場を切り抜けてそそくさと自分の部屋にこもる。別に悪いことをするわけでもなしリビングで堂々と鑑賞すればいいのに、と思いながらもお母さん...
    2019/12/28
    短め
  • お祭りのあとのあとの祭り
     夜。お祭りの騒がしい熱気が背中の向こうへゆっくりと、しかしどんどん離れて行く。砂糖の焼ける甘ったるい匂いが薄まるにつれて、アルファルトの濡れた匂いが取って代わるように辺りに立ち込めて行く。肌寒くなる前に着ている浴衣が乾いてよかった。「結局、雨あがってもーたなぁ」先刻、とつぜん降ってきた通り雨を嫌って、急遽出店で私が買ったビニール傘の中から腕を伸ばした妹が残念そうに呟いた。その無防備な横顔、もちも...
    2017/03/08
    短め
  • 新興宗教ハイグレ教 羽野秋穂編
     娘とふたり、ペアルックを着て手をつないで並んで歩く。もちろん全くおんなじ格好というわけではなく、おそろいで着用しているのはピンク色に妖しく輝く「聖なる衣」とセットになっている同色のハイヒールだけで、小冬は登校用に赤色のランドセルを背負ってるし、私は私で小冬との格差を示すピンク色の長手袋を左手に、同色のニーハイソックスを右脚に着用してはいるものの、同じ「ハイグレ人間見習い」である以上そんな違いなど...
    2016/12/31
    短め
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